知識編:インセクトホテル
インセクトホテルとは?生物文化多様性とは?この教材の基本的な考え方について説明します。
歌は古今東西に存在しますが、日本に古くから伝わる日本古謡や民謡を見てみると、自然を歌うものや労働歌、盆踊りの歌などの内容が多くみられます。では「虫」にまつわる歌はというと、子どものために作曲された文部省唱歌や童謡に多く見つけることができます。虫は子どもにとって身近なものだったことが推測されます。
虫と日本の歌をつなぐ活動として2つ提案したいと思います。まず1つ目は虫の鳴き声を観察することです。よく知られている虫の歌として、文部省唱歌の「虫の声」がありますね。松虫はチンチロリン、鈴虫はリンリン、こおろぎはキリキリ、くつわ虫はガチャガチャ、馬おいはチョンチョンスイッチョン、と虫の鳴き声がメロディにのせて歌われます(図2-6-1)。でも、本当にこのように鳴くのでしょうか?捕まえて調べてみてもよいでしょう。捕まえてみたついでに、どうやって音が発せられているのか観察してみてもよいかもしれません。例えば私は今回試しにこおろぎの鳴き声を調べてみましたが、なんと発音体は羽でした。羽にギザギザしている部分があり、それを擦り合わせて音を出しているようです(詳しくは調べてみてください)。発音の仕組みを調べて再現できたら虫の楽器を作ることができるかもしれません。
実際に擬音楽器といって、鳥や虫の鳴き声を模した楽器があり、水笛、バードコール、カエルギロなどがあります。
2つ目は歌を作った作曲家の工夫を探すことです。童謡というジャンルは、文明開化後の大正期に登場し、西洋の作曲技法、いわゆるクラシック音楽の形式で作曲されましたので、楽譜をみるとだいたいピアノと歌で構成されています。つまり、歌詞に登場する虫がピアノの音になって曲に反映されている部分があるのです。子どもの歌に登場する虫の代表格は、とんぼ、蜂、蝶々、蝉などです。とんぼ、蜂、蝶々は鳴きませんから、風景の一部として詩に登場していたり、または飛んでいる動きや羽音がリズムになって表されたりしていることがあります。一方で蝉は鳴きますから、鳴き声が曲の中で表されていることがあります。例えば中田喜直作曲の童謡「夕方のお母さん」は出だしの歌詞が「カナカナぜみが遠くでないた」と始まります。「カナカナぜみ」とはひぐらしのことで、夏に「カナカナ」と聞こえてくる、あの蝉です。その鳴き声が前奏と後奏のピアノで表されています。作曲家は蝉の鳴き声をピアノでどのように表現できるか、色々と工夫し試行錯誤したことでしょう。私たちがその工夫に気づき、見つけることができるのはとても嬉しいですし、またこの部分のピアノが蝉の鳴き声だと分かったら、演奏することも楽しくなりそうです。
虫と日本の歌のつながりを、ぜひ探してみてください。
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